ケーシングとは、額縁のことです。
窓やドアの周りを囲うように設置され、その用途は主に装飾性を高める目的で用いられます。
各フロアの空間づくりに大きく影響するケーシング枠ですが、日本ではより安価でシンプルな固定枠を採用している住宅が多いようです。
しかし英国風のクラシックスタイルなお部屋を再現しようとしている場合において、このケーシングはなくてはならない要素の一つと言えるでしょう。
先日筆者の知人が日曜大工と称し、自宅のドアまわりにこのケーシングを取り付ける作業をほぼ一人で(!)こなしておりましたが、これらの部分もDIYしてしまうあたり、知人のアンティークの雰囲気好きは本物なのだなと痛感させられました。
また、これらケーシングやモールディングに用いられる材料の余りで棚を自作してしまったり、子どものためにと木製のおままごとキッチンを作ってしまったりする方もいて、まさに目から鱗の体験をさせてもらった次第です。
本来の用途以外でも、こういった材料の活用方法があるのですね。
そのアイデアには常々仰望してしまいます。
ドアの上部に取り付けられるドアヘッドは、室内ドアにも、玄関ドアにも取り付けられる装飾要素の強い部分です。
しかしその影響力は大きいもので、ドアヘッドがあるのとないのとでは室内フロアの雰囲気が全く異なってきます。
より重厚で、シックな趣のある空間を求めている人にとって、ドアヘッドの装飾もまた心を躍らせてくれる要素の一つとなり得そうです。
何よりその場所に置くアンティーク雑貨をより見栄え良く配置するためにも、フロアの雰囲気づくりは手抜きが出来ません。
一見してただ通るだけなので見ないだろう、と思われがちなドアでさえ、工夫次第では同じアンティークの雰囲気を纏うことが出来、人の目と心を潤せるのです。
そう考えると、「たかが通り口だろう」とも言ってはいられなくなります。
英国風インテリア、シャビーシックなインテリアなど、一貫したインテリアテーマをお持ちの方ならば、その統一感をどう表現するかで頭を悩ませているはず。
フロア内に何かが足りないなあ……?と思ったら、ドアヘッドを取り付けることも視野に入れておくと良いかもしれませんね。
アンティークの薫り漂う室内に多く存在しているのが、腰壁です。
イギリス風の格調高いお部屋や、フレンチシャビー、フレンチシックなどといったフランスの名を冠したおしゃれなお部屋まで、この腰壁は幅広いテーマにマッチするポピュラーな要素となっています。
腰壁は、その名の通り人間の腰の辺りの高さ(およそ90cm)まで板を張った壁のこと。
腰壁の上部には見切材としてチェアレールと呼ばれるものが付きますが、これもまたシックで美術的なデザインをしていることが多く、ここだけでも上品な雰囲気を堪能できるでしょう。
日本では一時期不人気となりつつあった腰壁ですが、アンティーク家具、および雑貨、輸入住宅の流行などに伴い、再び施工例が多くなってきた存在です。
そのデザインも装飾性に富んでおり、細長い板を幾枚も並べた羽目板(はめいた)の腰壁や、パネルモールドを用いたいかにも西洋らしい腰壁など、バリエーションも豊富。
しかもこの腰壁、ただの装飾用かと思いきや、きちんとした理由があって生まれたパーツだったのです。
椅子を引いた時、勢い余って壁に背もたれをぶつけてしまったことはありませんか?
また、日本では公共施設などに限定されますが、立ったままでいる待ち時間、壁に背を向けた状態で、所在なく後ろの壁をかかとで軽く蹴ってみたりしたことは?
こういったダメージによって生じる壁の傷を防ぐべく、腰壁が生まれたのだそうです。
一見ただの飾りにしか見えないものでも、しっかりとした理由があって作られたわけですね。