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ベルギーのアンティーク家具「リエージュ ワードローブ」の歴史
ベルギー・リエージュに古くから伝わる「ワードローブ」というアンティーク家具があるのをご存じでしょうか。
独自の彫刻が特徴的なこの家具には200年以上の歴史があり、西洋アンティークファンからは現在でも特別な人気を集めています。
ワードローブがつくられたベルギーの歴史が詰まるリエージュとはどんな街なのか、ワードローブにはどういった歴史があるのか、詳しく迫ってみます。
リエージュの歴史
教会の街とも呼ばれるベルギーの古都「リエージュ」。
街中を歩くと多くの教会と出会うことができます。
リエージュはベルギーのワロン地方最大の都市であり、ベルギーの歴史の半分が詰まっているといわれるほど美術館や博物館が多い街でもあります。
この街で製作されたワードローブという家具は、高い木彫技術がふんだんに施され、その美しさは当時のヨーロッパ中の貴族たちをもれなく虜にすることになりました。
そんなリエージュは知的で宗教的な都市として、現代まで着実に歴史を積み上げてきました。

ワードローブという歴史的家具
ワードローブは1790年前後にベルギー・リエージュにてつくられたリージェンシー様式の家具です。
ベルギーのリージェンシー様式は、フランスの影響を強く受けているとも云われています。
もともとワードローブとは国王などの高貴な人たちだけが使う家具で、頑丈なつくりなのもあり重さのある本や版画などを保管するために使用されることもありました。
ヨーロッパの中でもベルギーとドイツは、教会の建築に木彫による装飾を多く取り入れた国として有名です。
当時のヨーロッパは教会も木造でつくられていたため、教会の建築や修理はベルギーの木彫技術が大きく発展していくきっかけにもなりました。
そしてその木彫技術は家具製作にもそのまま活かされるようになり、教会の街リエージュはヨーロッパでも有数の高級家具生産地へと成長を遂げていきました。
ワードローブのつくり
ワードローブは高さ2m 以上、横幅2m以上、奥行50cm以上と、家具とは思えないような巨大な彫刻物です。
ワードローブは3つの扉で構成されており、上部・中部・下部にそれぞれ見応えのある彫刻が施されているのが特徴的です。
この扉に彫刻されているデザインは、教会近くの風景画であったりするといいます。
「愛の象徴」といわれている天使が様々な姿で描かれるのも印象的です。
また、リージェンシー様式の代表的モチーフであるヤシの木やロカイユ、シェルが家具のあらゆるところで表現されている装飾も素敵です。
細かい花のつるや、伸び伸びと咲き誇る花たちが丁寧に彫刻されているデザインが多く見受けられます。
ワードローブはオーク材でつくられていることもあり、材質が硬く加工は非常に難しかったはずです。
しかしながらこれだけ細かく見事な彫刻が施されているというのは、リエージュ家具の職人たちが特別な技術を持っているという証だといえます。
見れば見るほど職人たちの家具への愛が伝わってくるような素晴らしい装飾で、その美しさは時代を超えて人々を感動させています。
これだけ洗練された彫刻デザインは、当時からヨーロッパでも屈指の家具製作技術を誇っていたリエージュ家具職人たちの集大成として製作されたことが伝わってくるようです。
まとめ
ベルギーの木彫技術は教会の建築や修理で磨かれ、その技術をそのまま家具製作へ利用したことでヨーロッパでも屈指の高級家具生産国に成長することができました。
現在でもリエージュには当時の面影を感じる建物や家具がたくさん残っており、その木彫技術力の高さには多くの人々が感動しています。
当時の技術は現代でも色あせることなく、ワードローブは現在でも多くのアンティークコレクターに愛されています。