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アンティーク家具の装飾~家具の脚にも種類がある~


アンティーク家具の装飾
~家具の脚にも種類がある~

今回は家具における、脚のデザインのお話です。

現代のモダンな家具は
シンプルなシルバーの脚だったり、
木製でも「え、これ人が座って大丈夫なの?」
というくらいシャープなデザインの脚になっていたりと、
より機能的かつ斬新な見た目が
求められている傾向にあります。

学校や職場で使用されるイメージの
パイプ椅子も、どんどんおしゃれなデザインが
登場していて目移りするほどです。

けれど我々の生きる現代より遥か昔に
作られたアンティーク家具だって、
おしゃれさ・機能性ともに負けていないんですよ。

古いからダサい?
いえいえ、そんなことはございません。

現代人の目から見ても美しい、
使ってみたくなる。斬新さだって兼ね備えている。
それがアンティークの特徴であり、
経年によって増していく他の家具にはない魅力です。


今回はそんなアンティーク家具の
脚の部分を中心に見ていきましょう。

「私の好きなあの家具の脚にはこんな名前があったのか!」
という発見もあるかもしれませんね。


螺旋状の綺麗な形『ツイストレッグ』

強烈な存在感を放つ変わった形の脚といえば、
ツイストレッグでしょう。

正式には『バーリーシュガーツイスト』と呼ばれ、
大きなアンティーク家具には重厚な存在感を、
小さなアンティーク家具には愛らしさをもたらす
素敵なデザインです。

その見た目は
当時西洋で作られていたねじり飴を
参考にしたらしく、
名前にもその由来が反映されていますね。

17世紀イギリス、フランスなどヨーロッパ各地で流行し、
その人気は2世紀越しの19世紀アンティークにも
衰えず用いられるほどポピュラーなものとなりました。

ツイストレッグテーブル
ツイストレッグのゲートレッグテーブル



糸巻きがモチーフの『ボビンターニングレッグ』

ボビン、糸巻きと言うと、
“眠りの森の美女”などの童話を思い出します。

糸車そのものも、
今やアンティーク装飾として人気のアイテムですよね。

こちらのボビンターニングレッグは、
そんな糸巻きを積み重ねた形が元となっているようです。

まあるい玉の連なった様は、
おとぎ話の夢の中を連想させる可愛らしいデザインですね。

こちらの家具脚も17世紀に誕生したとされ、
イギリスから各地に広まっていきました。

ボビンターニングレッグ
略してボビンレッグとも呼ばれます。


最高の存在感を放つ『パイナップルレッグ』

こちらも17世紀に流行した、
パイナップルのような迫力満点の家具脚。

デザインによって名称が変わるのも特徴的で、
バルブレッグ(バルボスレッグ・球根の意)などと
呼ばれることもあるようです。

それぞれ元となった植物や果物の意匠を、
そのまま名前にも当てはめているわけですね。

こうして見ていくと、
アンティーク家具の数多い脚の装飾の基盤は、
17世紀には既に出来上がっていたことが伺えます。

バルボスレッグ
パイナップルレッグのドローリーフテーブル


現代インテリアにも取り入れやすい『テーパードレッグ』

アンティーク家具の中では
一際シンプルな見た目をしているテーパードレッグ

その洗練されたフォルムは
モダンなインテリアにもあわせ易く、
控えめな存在感がより上品さを際立たせます。

その名の由来は
“先が細い”という意味の単語“tapered”

ファッションではテーパードパンツと呼ばれる
足先に向けて細くなっているフォルムはもはや
定番ともいえる人気ぶりですね。

この直線的でシンプルな見た目が
流行するようになったのは18世紀後半とされ、
以降現代でも愛されるモダンなデザインの先駆けとなりました。

テーパードレッグ
テーパードレッグのデスク


脚だけでもおしゃれなアンティーク

当時の家具職人の方々の高いクオリティには、
必ずと言って良いほど驚かされます。

家具の脚だけでああも美術的な表現が出来る上、
その部分だけでも人々の目を奪ってしまうだなんて、
なんと素敵な装飾なんでしょう。

そしてその技術を受け継ぎ、
新たに発展させようと奮闘なさっている
現代の家具職人の方々。
その精神、本当に素晴らしいと思います。

ファッションの世界では、
“流行は10年ごとに巡り巡って来る”そうです。

だいたい10年前に流行ったファッションが再び流行する、
という傾向にあるのだとか。

服は買い換える頻度が家具よりも多いですから、
短い間隔で流行が巡って来るというのも頷けます。

では家具の流行はどうなのでしょう?
そう頻繁に買い換えるものではないですから、
再流行にはより長い年数が必要であることは確かかと思われます。

となると、今に残るアンティーク家具たちが
再び日の目を見ているこの現状は、
アンティーク好きにとって
良い巡り合いのチャンスなのかもしれませんね。


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