木材に見る家具の歴史「マホガニー・サテンウッドの時代」 — アンティークハウスペルラ コンテンツにスキップ
木材に見る家具の歴史「マホガニー・サテンウッドの時代」
前回の
「オーク・ウォルナットの時代」

に続いて、今回は
「マホガニー・サテンウッドの時代」
をご紹介します。

英国の家具は
使用される木材の種類が時代的区分名として
用いられるのが一般的です。
大別して以下の4種類の木材による時代区分があります。
〇オークの時代 1500~1660年代
〇ウォルナットの時代1660年代~1720年代
〇マホガニーの時代1720年~1770年代
〇サテンウッドの時代1770年~1830年代

これらは必ずしも歴代君主の時代区分とは
厳密には一致しませんが、おおむね重なりあっています。

「マホガニー・サテンウッドの時代」

マホガニーの最盛期は、18世紀中ごろまでです。
その後は象嵌や寄木張りなどの部材として使われました。
この間、トーマス・チッペンデールが登場します。

チッペンデールのデザインは、
ロココ様式、ゴシック様式、シノワズリー様式など
多様なデザインです。

その中でも特徴的なデザインを挙げると、
クラスター・コラム 、フレット・ワーク、
組格子デザイン、サーペンタイン・チェアバックなど、
多岐にわたります。

家具の専門書は珍しい時代でしたが
全国の家具職人、家具工房など多大な影響を及ぼします。

チッペンデール自身も工房を持ち、
完成した家具の販売店や
家具用の材木店などをもっていました。

チッペンデールは家具史上、
多大な影響を与えたといってよいでしょう。

来るべきサテンウッドの時代までの、
マホガニー時代の特徴をまとめてみます。

まず、キャビネット、ドロワーズなどの収納家具のうち、
初期のトールボーイの脚のデザインがオージー形に変わり、
脚足も短くなります。

ブックケースやキャビネット類の頭部は、
初期のブロークンペディメントに加えて、
アメリカンボンネットトップ、スワンネック・ペディメントが
登場します。

それまでのテーブルは、
ゲートレックテーブルに代表される構造のものが主流ですが、
それらに加えて、ドロップ・リーフ形が
18世紀中頃から作られます。

ブレックファースト・テーブルも流行します。
これらに、拡張ウィング板と小引き出しの付いた形が、
ペンブロークテーブルとして定着して行きます。

小物の家具として、
コモド、ウォシング・スタンドなどがあります。
コモドは便器入れの家具でしたが、
1760年代までには、マナハウスなどの設備の
行き届いた寝室の常備家具となります。


コモドは、本来の語源であるフランスの家具としては、
衣装箪笥などの立派な家具を意味していますが、
英国では、アクセントの違いがあるものの、
後のナイトテーブルと同義語となります。

頭のコにアクセントの場合は、ドロワーズを意味し、
末尾のモドにアクセントをつけると
ナイトテーブルの意味です。

本来のコモドは、
サーペインタイン・シェープやボーブなどの
形状を伴ったドロワーズです。
18世紀中頃に作られ始めます。

ウォッシュスタンドは、
貴族階層に洗顔の習慣が定着した17世紀後半から
オケージョナルテーブルとして使われます。

18世紀になり、
折りたたみ型の洗面器や
石鹸を収納する家具として定着します。

椅子は、背もたれに、ラダーバック、
フィドルバックなどの意匠が登場します。

さらに、チッペンデール特有の背もたれとして
リボンド型やシノワズリー(組格子)型がデザインされます。

椅子の脚下に、キャスターが取りつけられ、
床面やカーペット類を傷めずにしかもその移動を
容易にすることが出来るようになりました 。

キャスターにはレザー・ホイールや
スクェアー・カップが取り付けられます。

1811年、ジョージ4世(1820~1830)が、
ジョージ3世の摂政に就きます。
この摂政から国王在位中の1830年までを、
美術様式としてはリージェンシー様式と呼びならわします。

ジョージ4世の治世は、その摂政時代も含めて、
奔放で問題の多い君主ですが、
家具史上、その期間が短いにもかかわらず、
家具デザイナーを輩出し、
工芸様式も様々なものが生まれ、活況を呈しました。

ヘンリオー・ホランドは
プリンス・オブ・ウェールズ時代のジョージ4世お抱えの
建築・家具デザイナーです。
ホランドの打ち出したグレコローマンやシノワズリーは、
家具史上に、足跡を残しました。

トーマス・ホープは、
フランスのアンピール様式や、ナポレオン1世のもたらした
古代エジプト様式をデザインに生かし
リージェンシーの時代を飾ります。

ジョージ・スミスは、
獣像、スフィンクス、グリフィン、ライオン、
豹、大胆なスイカズラ模様、アカンサス、
シュロの葉のモチーフ等をデザインに用いています。

さらに、多様な古典様式をリヴァイバルさせます。
東洋の漆塗り、椅子の背もたれと座の籐張り、
ブールの象嵌細工、ギルディングなど
過去の意匠も復活させます。

リージェンシー様式の家具の特徴を拾いあげてみると、
たとえば椅子の脚部は、
サーブル・レッグ、リーディド、
リング・ターンなどが新たに加わります。

キャスターは
ギルド・メタル、プレーン・トウが現れます。

キャビネット・トップは、
リージェンシー・トップがペディメントに加わります。


以上になります。

木材に着目した4つの時代を
2回に分けてご紹介しました。

だいぶ乱暴なまとめ方ですが、
断片的にでも何かの際の役に立てると幸いです。
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