箱からキャビネットそしてタンスへ・・・家具の起源と変遷 — アンティークハウスペルラ コンテンツにスキップ
箱からキャビネットそしてタンスへ・・・家具の起源と変遷
こんにちは。

今日は家具の起源について
すこしお話したいとおもいます。

最古の家具はエジプト。

紀元前3000年(今から5000年前!!)~紀元前2000年に
エジプトで箱(櫃と呼ばれる。英語ではchest)が作られた事が
起源となっているようです。

その箱から当時の生活に合わせて椅子やテーブル、
寝台と生まれていった、とされています。

なるほどさすがのエジプトといったところですね。

ではヨーロッパではどうでしょう。

ヨーロッパの時代をさかのぼると、
家具の歴史が始まるのはだいたいルネサンス(15世紀ごろ)から
と言われています。

それまでの暗黒で闇に隠された中世の時代が
幕を閉じ、明るい光の中に人間の自由な表現を再び見出した
ルネサンスの時代は、
芸術や文化面に大きな影響をあたえました。

建築や装飾、家具などの工芸品に関しては
シンメトリーと均衡のとれたプロポーションのデサインが
重んじられるようになりました。

家具においては、
「ルイ○世様式」など厳密な意味での様式が生まれるのは
17世紀中期ごろで、それまでのものは一括して
オート・エポック(haute epoque)と呼ばれています。

この頃の王や貴族たちは、
頻繁に城から城へと渡り歩いていました。

御所から離宮へ、という感じでしょうか。
その際に家具や家財など全て運びます。

要するに「引っ越し」なのですが、
今日のようにトランクやコンテナがあるわけでなく、
コッフル(coffre)、と呼ばれる「蓋つきの箱」を使っていました。
コッフルはオート・エポック時代の重要な家具だったのです。
アンティークボックス
※こちらはオークションに出されていたもの。
銅版の絵で装飾がされています。

コッフルは色々なサイズがあり、
文房具やアクセサリーなどをしまう小ぶりなものまであります。
16世紀になるとカトリック教会の勢力回復とともに
バロック様式というものがイタリア、ローマで生まれます。

バロック様式では立体感のある彫刻や
絵画の技法が建築や家具に取り入れられ、
ゴテゴテとして厚みのある装飾が特徴的です。
アンティーク家具
↑※フランソワ1世(フランス)とクロードとの婚礼用に
作られたコッフル(1514年頃)。
バロック様式を感じさせる彫刻。
男性と女性が彫られて、いかにも婚礼用にしつらえた作品ですね。

そして17世紀に入ると家具の花形は
コッフルからキャビネ(cabinet)に移ります。

キャビネは引き出しが付いた(貴重品を入れる)収納棚(箱)。


フランス アンティーク
※くるみの木でできた17世紀のイギリス製キャビネット。


他にも食器棚などのキャビネも見られ、
一気に家具として使い勝手の幅が広がりました。

そして17世紀末になると
コモード(commode)というタンスが生まれ、
18世紀には代表的な家具として普及します。
コモードは引き出しのついた背の低いタンス全般を指し、
語源はラテン語で「便利な」という意味。

ものを分けて整理ができるタンスは
便利で実用的になったことでしょう。

18世紀フランスはルイ15世の時代。
この時代が生んだ様式は数ある様式の中でも
最も完成度が高いと言われています。

それまでの、壮大さや偉大さを誇示したルイ14世の様式に反し、
優しさや甘美さ、なだらかな曲線が特徴的。

また、ルイ15世の愛妾だったポンパドール夫人が
サロンで広めていったロココ(rococo)というスタイルは
現代でも人気が高く、軽やかな装飾が多く、エレガントな様式です。

ロココはロカイユ(rocaille)という語が語源で、
小石,貝殻を使った洞窟という意味。
よって貝殻や貝の渦巻き曲線をモチーフにした装飾が多く見られます。


アンティーク
※ロココ様式のコモード。
女性らしい可愛らしい印象です。
(写真のこの家具は19世紀製)


今回は起源のお話ですのでこの辺まで。

いかがでしたでしょうか。
エジプトでもヨーロッパでも家具の起源は箱
というところは一緒なんですね。

じゃあ日本もそうなのかな?と思って少し調べたら
ちょいと複雑そうでしたので、そちらはもうちょっと調べてから
ご紹介できたらなと思います。


オート・エポックから今日まで
長い時代を生きのびてきた古い家具たち。

より使いやすく変遷していくとともに、
それぞれの時代で好まれた装飾の趣味なども垣間見ることができます。

ヴァンテージ(希少価値のあるアンティーク)ものの家具が
さりげなく個人の家に置かれ、
実用的に使われているのを見ると、
ヨーロッパの人々の家具に対する思い、
伝統の深さを感じられずには入られません。

何度も施された修理の跡や
くり返されたニス塗りなどはとても大切にされてきた証。

この時代の家具を実用的に使用することは
確かに大変デリケートですが、
ただの置物としてではなく家具として
使われてこそ現役と言えるのでしょうね。

ではでは。

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