イギリスの家具について「クイーンアン」「ジョージアン」「ヴィクトリアン」 — アンティークハウスペルラ コンテンツにスキップ
イギリスの家具について「クイーンアン」「ジョージアン」「ヴィクトリアン」

こんにちは。

アンティーク家具店で接客を受けたり、
アンティーク家具店のHPをご覧になっておられる方は
「こちらは○○時代の物で~」
なんて言葉をよくお聞きになるかと思います。

イギリスの歴史について
深く学んだことがある方なら
すんなり入ってくるのかもしれませんが、
普通はそんなことはないですよね?

ここではアンティーク家具を検討されている方の為に、
すごく簡単に少しだけ歴史をご紹介してみます。

ご覧になっている皆様のなにかの助けになればさいわいです。

あまり長くなりすぎても飽きてしまうかと思いますので
今回は大きく3つの王朝についてご紹介いたします。

「クイーンアン」
「ジョージアン」
「ヴィクトリアン」

アンティーク家具業界の界隈では頻出の言葉です。

テストにはでないかもしれませんが、
アンティーク家具に少しでもご興味がある方でしたら
覚えておいて損はないはずです。

 

アン女王の時代(1702~1714)

ウイリアム3世が死んで18世紀に入った2年後、
ジェームズ2世の次女アンは37歳で王位につきました。
彼女は上品で偉ぶらず、人柄もやさしい人だったようです。

またこの時代はイギリス自体も
スコットランドと統一してグレートブリテンとなり、
中流クラスの人々の生活が向上して、
中流家具が大いに発展しました。

家具の歴史に置いても、
中級の製品が快適さと優雅さを
兼ね備えるようになった時代でもありました。

まず椅子の背もたれが座る人の体に合うように
曲面をもった丈夫な木材で作られるようになりました。

この時代は輸入のウォールナット材だけでなく
国産材も使用されデザイン的には装飾が少なくなり、
材木の質が厳選されるようになりました。

彫刻のモチーフとして流行したもののなかには
帆立貝の模様で座幕板(フリーズ)や
正面貫(フロントレール)があり、
あらゆる種類の湾曲した脚のひざの部分に使われました。

ふくらみを持たせた曲線の脚部は
現在ガブリオール脚といっているもので、
これはアン女王の時代に始まったものです。

イギリス アンティーク家具


ジョージ1世の時代

1714年にアン女王が後継ぎを残さず
世を去ったためジョージ1世が後を継ぐことになりました。


この時代の家具は
代表的なスタイルは王様の名前より様式名
あるいは製作したデザイナーの名前で覚えられています。

18世紀のはじめまでに使われた家具は
主として2つの種類に分けられます。


1つ目は王室や貴族のために指定家具職人が
最新のデザインを取り入れて作った最高級品で
新様式または新しい装飾用モチーフの導入もこの部類に入ります。

2つ目は中産階級の裕福な地主や商人のために
ロンドンやほかの大都市で製作された家具です。

これらは数が少ないので新様式の導入といった点では
詳細は不明ですが
その後の急速な広がりを見せる家具産業の土台になりました。

ヴィクトリア女王(1837~1901)

ウィリアム4世を経て、
ヴィクトリア女王(1837~1901)が即位します。
ヴィクトリア時代は、まさに、世界に冠たる大英帝国時代です。

この時代の美術様式はエクレクティック(折衷)様式と呼ばれます。

家具史上、
1851年万国博覧会を目ざして、
爆発的に家具史上が膨張した時代でもあります。

例えば家具彫刻は、
木彫機械が開発され蒸気を動力とする機械 彫刻が
行われ、飛躍的な供給量とともに、
デザインの多様化を生みました。

それらに触発され家具デザインも、
質量ともに一挙に発掘されました。

国が富み、国民が豊かさをさらに求め始めます。
好みの多様化が必然的に過去の優れた家具や
意匠様式を模索するようになります。

このようにして、
リバイバルブームが到来します。
家具も、過去のよいもの、優れたもの、
憧れていたもの、
いわゆるいいとこどりの様式が雨後の筍のごとく、
同時多発的に生まれます。

それらのデザイン、様式をまとめて、
エレクティック(折衷)主義と称します。

ジョゼフ・パクストンの万国博会場、
クリスタルパレ スに象徴される工業力が、
家具の世界に及び、
家具はもはや一部の上流階級層を主客とする
注文生産のものから、
一般市民が、家具販売店から
購入することが可能なものとなります。

J.Cラウンドは、
1833年に『エンサイクロペディア・オブ・コテージ・
ファーム・ヴィアラ・アーキテクチャー・
アンド・ファーニチャー』を出版 します。

家具の情報、傾向など示され、
これを規範に、以後、各種の定期刊行物を含む
情報が提供されるようになります。


では、
エレクティック様式のデザインの特徴は
どのようなものだったのでしょうか?

椅子を例にとって見ると、
ロココ・リバイバルが登場します。

続いて、ルネッサンス・リバイバルが加わります。

脚部は、
ヴィクトリアン・チューダーや
ジャコビアン・リバイバル、
リーテッドなどが流行ります。

テーブルでは、
ヴィクトリアン・バラスターや
またビクトリアンポーセリンが
キャスターのデザインに加わります。

また、キャビネットなどの箱物の脚部には
バンフットが登場します。


以上ここまで、
英国家具も時代様式を4つの時代に分けて、
その意匠の変遷を一通り、時代とともに漕ぎ繰り出しました。

英国大博覧会以降は、
よく知られているアーツ&クラフトや
アールヌーボーに代表される英国家具の時代となります。

そのあたりの話はまた別の機会に。
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