霧の街、ロンドン — アンティークハウスペルラ コンテンツにスキップ
霧の街、ロンドン

映画や小説の影響もあって、
ロンドンに対して、

「霧の街」

というイメージを持っている人はかなり多いと思います。

でも実は、
現在のロンドンって、
そこまで霧深い街ではありません。


ではなぜ、
ロンドンはあれほど
“霧の街”
として語られるようになったのか。

その理由には、
19世紀ロンドンという、
巨大で少し異様な都市の存在が関係していました。


当時のロンドンは、
世界最大級の都市でした。

産業革命。
金融。
海運。
植民地貿易。

世界中の富と物資が、
ロンドンに集まっていた。

でもその一方で、
石炭の煙や貧困、
混雑、
労働、
犯罪みたいなものも、
街の中に混ざり合っていたんですね。


ロンドンの霧は、

「産業」が作っていた


19世紀のロンドンでは、
大量の石炭が燃やされていました。

暖房や工場、
蒸気機関。

産業革命によって、
街中が煙に包まれていたんですね。


しかもロンドンは、
もともと湿気が多い。

そこに石炭の煙が混ざることで、
普通の霧ではなく、
黒っぽく重たい
「スモッグ」
が発生していた。


当時の記録には、
昼なのに暗いとか、
数メートル先が見えないとか、
室内まで煙臭い、
みたいな話もかなり残っています。

つまり、
あの有名な「ロンドンの霧」って、

ある意味、
世界最初期の大気汚染でもあったんですね。


1952年、

ロンドンは本当に見えなくなった


特に有名なのが、
1952年の
「グレート・スモッグ」です。

数日間、
ロンドンを異常な濃霧が覆い、
交通は麻痺。

劇場の中すら、
霧で見えづらかったと言われています。


しかもこのスモッグでは、
数千人規模の死者が出たとも言われている。

今では少し信じられませんが、

「霧のロンドン」

って、
実際にはかなり危険な都市環境でもあったんですね。


この事件をきっかけに、
イギリスでは大規模な環境規制が進み、
石炭暖房や排煙への対策も強化されていきます。

だから現在のロンドンは、
昔のような
“霧に覆われた街”
ではなくなりました。


それでも、

人々は「霧のロンドン」を忘れなかった


面白いのは、
実際の霧は減った今でも、

「ロンドン = 霧の街」

というイメージだけは、
世界中に残り続けていることです。


シャーロック・ホームズや、
切り裂きジャック、
ジキル博士。

19世紀ロンドンって、
今でも少し不穏で、
ミステリアスな街として描かれることが多い。

でもその背景には、
本当に煙や暗さ、
湿気、
混雑、
産業革命の熱気が存在していた。


つまり、
あの映画みたいなロンドンって、
完全なフィクションではなく、

実際の都市の空気感から
生まれていたんですね。


そして面白いのは、
そうした“暗いロンドン”の空気そのものが、
今では逆に、
英国らしい美意識として愛されるようになっていることです。

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