前回、
19世紀頃のイギリスでは、
「重厚さ」そのものが
豊かさだった、
という話を書きました。
でも、
20世紀に入ると、
家具は急に軽くなっていきます。
脚は細くなり、
装飾は減り、
空間には余白が生まれていく。
今の感覚に近い家具って、
実はこの頃から一気に増えていったんですね。
世界は「軽さ」を求め始めた

20世紀初頭、
世界は急激に変化していきます。
自動車。
飛行機。
電気。
大量生産。
都市そのものが、
どんどん機械的になっていった。
すると、
家具に求められる価値観も変わっていきます。
19世紀の:
- 重厚
- 彫刻
- 格式
より、
- 機能的
- 合理的
- 軽い
方向へ向かっていくんですね。
「装飾は罪悪」
とまで言われた時代

特に象徴的なのが、
20世紀初頭のモダニズムです。
建築や家具の世界では、
「無駄な装飾を減らす」
という考え方が強くなっていきました。
オーストリアの建築家、
アドルフ・ロースは、
「装飾は罪悪である」
という有名な言葉まで残しています。
もちろん、
本当に装飾が悪というより、
“過剰な装飾から離れよう”
という空気だったんですね。
家具は、
「身分」より「生活」へ

19世紀の家具には、
どこか
“見せるため”
の側面がありました。
でも20世紀に入ると、
家具はもっと
「生活のため」
の物になっていきます。
例えば北欧家具。
シンプルで軽やかだけど、
かなり使いやすい。
しかも、
大量生産との相性も良かった。
戦後、
世界中で住宅不足が起きる中、
「多くの人が使えるデザイン」
が重要になっていったんですね。
だから20世紀の家具って、
現代の暮らしにも自然に馴染みやすい。
それでも、
人は重厚な家具にも惹かれる
面白いのは、
合理化が進んだ今でも、
人は重厚な英国家具に惹かれることです。
不便で、
重くて、
場所も取る。
でもそこには、
現代には少なくなった:
- 密度
- 静けさ
- 時間
- 空気感
みたいなものが残っている。
だからアンティーク家具って、
単に古い物というより、
「今の時代が失った感覚」
を見ているのかもしれません。
そして、
こうした“装飾を減らす流れ”に対して、
19世紀のイギリスでは、
逆に「手仕事」を守ろうとした人たちもいました。